🧒 作曲の背景
交響曲第21番 イ長調 K.134 は、
1772年7月、モーツァルトが16歳のときにザルツブルクで作曲した作品です。
この時期のモーツァルトは、
旅先で得た多彩な音楽的経験をもとに、
交響曲というジャンルでの表現をさらに洗練させつつありました。
前作K.133に続く形で作られたこの作品は、
同様にイタリア風の軽快さと、
ウィーン風の構成美を融合させた意欲作となっています。
🎵 楽曲の構成
この交響曲も 4楽章構成 で書かれており、
流麗で明るい旋律とともに、各楽章がバランス良く展開します。
- 第1楽章:Allegro(イ長調)
明快で前向きなエネルギーに満ちた楽章。
軽やかで親しみやすい旋律が、若き作曲家の自信を感じさせます。 - 第2楽章:Andante(ニ長調)
落ち着いた表情の中にも、優雅さとしなやかさが漂う。
弦楽器が中心となり、繊細な対話が展開されます。 - 第3楽章:Menuetto(イ長調)とTrio(イ長調)
格調高く、やや重厚な雰囲気のメヌエット。
一方トリオ部分では、滑らかで温かみのある旋律が現れます。 - 第4楽章:Presto(イ長調)
全体を爽快に締めくくる、スピーディーで快活な終楽章。
若さに溢れた勢いと明快な構成が印象的です。
🎻 編成
- 2本のオーボエ
- 2本のホルン
- 弦五部(ヴァイオリン I・II、ヴィオラ、チェロ、コントラバス)
※ 第2楽章では管楽器は使用されず、弦楽のみで演奏されます。
その結果、楽章全体に親密な雰囲気が醸し出されています。
💡 特徴と聴きどころ
- 全体に明るく伸びやかな楽想が広がる作品
- 第1楽章と第4楽章では、モーツァルトらしい活発さと洗練が光ります
- 第2楽章の弦楽合奏は、特に柔らかな表情と詩的な美しさが魅力
- メヌエット楽章では、優雅さと格式が共存するバランスの取れた構成
完成度の高い短めの交響曲でありながら、
各楽章に明確な個性と魅力が込められています。
🎧 おすすめの演奏
- トン・コープマン指揮/アムステルダム・バロック管弦楽団
古楽器による軽妙な演奏で、透明感のある響きが特徴。 - カール・ベーム指揮/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
安定したテンポと構築感で、古典派としての魅力を堪能できます。
📝 まとめ
交響曲第21番 イ長調 K.134 は、
モーツァルトがザルツブルクで作曲した若き日の完成度の高い交響曲です。
全体を通じて明るく、軽快ながらも、
構成や対位法の工夫には確かな成熟が見られます。
親しみやすいメロディと躍動感に溢れ、
モーツァルト初期の交響曲を知るうえで欠かせない1曲といえるでしょう。
初学者から愛好家まで、広くおすすめできる佳作です。


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