🧒 作曲の背景
交響曲第12番 ト長調 K.110 は、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトが1771年、15歳のときに作曲した作品です。前年から続くイタリア旅行の影響を色濃く受けつつも、徐々に独自の交響曲スタイルを築き始めている時期の作品として注目されます。
この作品はザルツブルクで書かれたと考えられており、構成の面でも音楽的な密度の面でも、初期の作品群の中ではやや成熟の兆しを感じさせます。
🎵 楽曲の構成
交響曲第12番 K.110 は、モーツァルト初期では珍しい 4楽章構成 をとっており、後の古典派交響曲の基本形に近づいた作品です。
- 第1楽章:Allegro(ト長調)
活気に満ちたソナタ形式。明快な主題と緊張感ある展開部が特徴です。 - 第2楽章:Andante(ハ長調)
穏やかで流れるような旋律。ハーモニーの使い方に繊細な成長が見られます。 - 第3楽章:Menuetto(ト長調)とTrio(ニ長調)
優雅なメヌエットと明るいトリオが対照的で、後の様式に通じる構成です。 - 第4楽章:Allegro(ト長調)
終楽章らしく軽快で勢いのあるフィナーレ。技巧的なパッセージが印象的です。
🎻 編成
- 2本のオーボエ
- 2本のホルン
- 弦五部(ヴァイオリン I・II、ヴィオラ、チェロ、コントラバス)
- ※演奏によってはファゴットやチェンバロが通奏低音として加わることもあります
💡 特徴と聴きどころ
- 初期には珍しい4楽章構成で、形式的完成度が高い
- 第2楽章では抒情的な旋律と和声の工夫が際立つ
- メヌエットとトリオは対照的で、緩急のバランスが良い
- フィナーレは技巧と若さに溢れ、聴衆を惹きつける躍動感があります
🎧 おすすめの演奏
- クリストファー・ホグウッド指揮/エンシェント室内管弦楽団
古楽器による自然な音色で、初期モーツァルトの魅力を引き出しています。 - ブルーノ・ワルター指揮/コロンビア交響楽団(全集収録)
暖かみのある演奏で、初期交響曲ながら奥行きを感じさせます。
📝 まとめ
交響曲第12番 ト長調 K.110 は、モーツァルトの交響曲作法が成熟へと向かう過程を示す重要な作品です。特に4楽章構成の採用や、旋律と構成のバランスは、のちの交響曲群への橋渡しとして位置づけられます。
若さに満ちたエネルギーと繊細な音楽感覚が共存するこの作品は、初期作品の中でも完成度の高い一曲として、クラシック初心者から愛好家まで幅広くおすすめできます。


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