🧒 作曲の背景
交響曲第13番 ヘ長調 K.112 は、
1771年、モーツァルトが15歳のときに作曲した交響曲です。
この年の秋、モーツァルトは父とともに2度目のイタリア旅行中で、
ミラノで歌劇《アルバのアスカニオ》の準備を進めながら、
この交響曲を並行して書き上げたとされています。
当時のイタリア音楽の影響が随所に見られる一方で、
ザルツブルク風の特徴も織り交ぜた、興味深い作品です。
🎵 楽曲の構成
この交響曲は、伝統的な 4楽章構成 を採用しています。
バランスの取れた構成と明快な旋律が特徴です。
- 第1楽章:Allegro(ヘ長調)
明るく生き生きとした主題。
序奏なしのソナタ形式で、若さと自信が感じられます。 - 第2楽章:Andante(変ロ長調)
柔らかい弦の響きに乗って、優雅な旋律が展開されます。
オーボエを省いた内省的な楽章です。 - 第3楽章:Menuetto(ヘ長調)とTrio(変ロ長調)
力強いメヌエットと、少し軽やかなトリオ。
コントラストの妙が楽しめます。 - 第4楽章:Molto allegro(ヘ長調)
快速テンポで締めくくる終楽章。
モーツァルトの技巧とエネルギーが発揮されています。
🎻 編成
- 2本のオーボエ
- 2本のホルン
- 弦五部(ヴァイオリン I・II、ヴィオラ、チェロ、コントラバス)
※ 第2楽章ではオーボエが省かれ、
弦楽による穏やかな表現が際立ちます。
💡 特徴と聴きどころ
- ミラノでの創作らしく、陽気で伸びやかな雰囲気
- 第2楽章はオーボエなしで、繊細で静謐な世界観
- メヌエットとトリオの対比が構成の妙を際立たせる
- フィナーレは若きモーツァルトらしい躍動感と爽快さ
この作品は、同時期のオペラ活動の影響も受けつつ、
器楽曲としての完成度の高さも示しています。
🎧 おすすめの演奏
- トレヴァー・ピノック指揮/イングリッシュ・コンサート
古楽器での生き生きとした演奏が、初期モーツァルトの軽やかさを際立たせます。 - カール・ベーム指揮/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
堂々とした表現で、交響曲としての骨太さを感じさせる名演です。
📝 まとめ
交響曲第13番 ヘ長調 K.112 は、
イタリアでの創作環境とザルツブルク的伝統が交錯する中で、
若きモーツァルトが見せた、交響曲作法の一つの到達点とも言える作品です。
オペラ的な明快さと、器楽的な構成美が融合しており、
短いながらも完成度の高い作品として、聴きごたえがあります。
初期交響曲における重要な一曲として、
クラシック初心者から熱心なファンまで、幅広くおすすめできます。


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